平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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3Dプリンタを利用してアルミ鋳造製品の低コスト化・差別化1本事業への取り組みの経緯当社は自動車、産業用ロボットのアルミ鋳物部品製造会社で、地理的には西の端に位置し、物流面では同業他社に比べかなり不利な環境にある。その対策として、金型設計や中子成形、鋳造、熱処理、加工と一貫製造することで物流コスト等を抑え競争力を高めてきた。しかし、市場は国際化が進んでおり、さらにコストダウンしなければ海外へ受注が流れてしまうとの危機感があった。特に新規物件を受注する際には、金型製作、試作費用がネックとなるケースが多い。そこで、本事業を活用し3Dプリンタを導入、従来の試作工程の一部を省くことで製品の低コスト化と差別化を図った。2実施内容まず3Dプリンタを購入し設置した。担当職員として技術員2名と品質管理員1名を選任し、操作方法や設備点検などの研修を受けさせ、簡単な成形品をテスト製作した。導入後は、まず引き合いがあった製品の3D樹脂製品と加工治具を作成。作成した3D樹脂製品について評価し、問題点等を確認した。それをもとに対策を立て金型に反映させ、対策が施された試作品を製作。また3D樹脂製品の寸法を3次元測定機で評価し寸法精度を確認、精度が高いことを実証した。次にコストを検証するため、顧客から3D図面の提供を受けた場合の樹脂モデル製作費用を算出、採算面でチェックした。金型と組み合わせて押出しピンや可動中子がある金型樹脂製品を製作し、顧客へのプレゼンテーションに使用。さらに製品の座り等を事前にチェックする治具や加工・切断治具を製作、樹脂だけでは強度が足りないものについては鉄板を使い複合することで補強し実用化を確認した。3取組成果・波及効果3D樹脂モデルにより砂型試作品を使わずに金型を作り、その費用と時間を削減することができたものが3製品で、コスト削減率は2.2~8.4%に達した。また立体モデルを手に取って様々な角度から見ることで、金型を作る時の方案策定時間を大幅に短縮、4製品において削減率90%を達成した。また、寸法精度は図面寸法対比で概ね1:1となり、相関係数も1.0と高いことを確認した。この結果をもとに、自動車や産業用ロボット業界を中心に販路を拡大していく予定である。●赤木コーセイ株式会社代表取締役赤木敬一●Eメールアドレス/kurosaki_y@akagikosei.co.jp●設立年月/平成3年12月●資本金/9,000万円●業種/非鉄金属製造業●従業員数/91名【3D樹脂モデル】【精緻な鍛造品の加工を可能にする工場内の様子】【本社工場外観】09

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