平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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事業用発電所におけるボイラー向けスマート設備保全管理システム開発1本事業への取り組みの経緯【本社社屋外観】事業用発電所のボイラー運用・管理において、定期点検はボイラー技士によって過熱や腐食、割れ目などの劣化を確認するほか、限定した項目についてのみセンサーで状態監視し、異常を警告するシステムを利用している。しかし、この方法ではボイラーの稼働を一時ストップし日数をかけて点検する必要があり、さらに評価が技士個人のスキルや経験に左右されるケースもある。また構成部品の点検では、計画時の性能が運転時に発揮できているか確認できず、点検・調整した後もその効果を数値で評価することができない。これらの問題点を解決するため、本事業でスマート設備保全管理システムの開発に着手した。2実施内容【スマート設備保全管理システム機器構成】定期点検を行うボイラーの電気機器は高温で稼働するボイラーの周辺にあり、実際にセンサーを設置しテストできないため、プログラマブルロジックコントローラー(以下PLC)とシュミレータ(LabVIEW)を使用し、シミュレーション技術を利用したシステム開発を進めた。ボイラーに関し多くのノウハウを持つ技術士より機器機能分析や機器性能を阻害する要因分析、保全システムブロックダイアグラムなどの技術資料の提供や指導を受け、ロジック図を作成。これを基にプログラムしボイラーの疑似環境を作り、PLCとLabVIEWを結合、正常に機能しているかをチェックした。その後各機器を組立・配線し、ハードウエア検査やシミュレータ検査、結合試験で出た不具合に対処することで正常な作動を確認。このシステムにより各種センサーを接続し「振動」「温度」「圧力」「潤滑油」「絶縁材」「回転機器」「電気機器」についての状態監視ができ、各センサーにより計測した性能値と等価運転時間との関係性を自動でトレンド画面に表示することが可能となった。3取組成果・波及効果【来客をお出迎えする玄関】開発したシステムはプログラムとセンサーを変更することにより様々なケースの状態監視が可能で、幅広くいろいろな設備に応用できる。今回開発したボイラー向けシステムは、既存設備に設置するには一定期間稼働を止める必要があり制約が大きいため、新設ボイラーに導入するのが望ましい。ただ、開発段階からの営業アプローチが必要で長い時間を要するため、これに代わり既設で設置できる設備としてベルトコンベヤーに着目。ベルトコンベヤーの故障を監視・予測するシステムを開発し、現在商談が進んでいる。●株式会社亀山電機代表取締役北口功幸●Eメールアドレス/hitoshi.inoshita@kameyama-grp.co.jp●設立年月/平成8年10月●資本金/2,080万円●業種/各種制御装置・電気機器の設計・製作・保守、ソフトウエア・システム開発●従業員数/86名15

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