平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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機械の整備および加工工場から排出される含油廃水に適用する高度処理装置の開発1本事業への取り組みの経緯【グリストラップ油水分離装置G-ace】当社開発の「グリストラップ改善装置(G-ace)」はマイクロバブルを使った浮上分離装置で、廃水から油を分離することができた。しかし、水に溶け込んだ油など有機物まで分離することができなかったことから、一段と高性能の分離装置の開発が課題になっていた。油などを含む廃水は処理が難しく高額の費用をかけて廃棄されていた。そこで微生物で廃水を効率良く処理するための担体(微生物の住処)と、セラミック製の分離膜を組み込んだ新しい小型装置を開発し、他の製品にはない高性能と安定した処理を可能とすることで自動車産業を中心とした市場ニーズ(中国、東南アジア含む)に応える形での展開を目指すことになった。2実施内容【セラミック製分離膜】「G-ace」のオゾンのマイクロバブルによる油水分離効果と、オゾンによる難分解性有機物を分解する効果を活用するため、同装置を前処理装置として組み合わせることにより、他社では実現できない処理性能を発揮することを目指した。小水量の含油廃水はその濃度や発生量の変動が大きいことが多いが、そのような条件でも廃水に含まれる有機成分を高度に分解処理することが可能な小型の高度処理装置の開発を行った。スポンジタイプの微生物担体とセラミック製の分離膜を利用した新しい小型の高度処理ユニットを製作。開発製品を時津事業所に設置してモーター洗浄廃水及び塗装ケレン廃水を「G-ace」で前処理した水を原水とした実証試験を行い、性能の確認を行った。水質項目としては油分、濁質、界面活性剤、有機物、リン、窒素、pHなどの項目についての評価を行い、全ての面で他社既存製品を上回る処理能力を目指した。その結果、本装置により条例で定められる項目を基準値以下まで分解処理できていることが確認できた。また、高負荷条件でも膜の目詰まりが発生しづらく、万が一発生しても簡単に洗浄できるものとした。3取組成果・波及効果【G-ace+設置実績】本装置の製品名を「G-ace+」とした。「G-ace」の横に試作機の「G-ace+」を設置。平成29年に日本国内市場では船舶エンジン含有廃水を対象とした1件の納入が決定。海外では川への排水基準が非常に厳しい中国において珠海やシンセンの日系薬品メーカー向けに同技術を納入することができた。また、ベトナムやマレーシアにも拠点を構え、本事業の展開を積極的に進めている。東南アジアでは廃水規制が厳しくなっている。本装置のような小規模高性能な廃水処理装置の需要は高まっており、実績を伸ばしたいとしている。●協和機電工業株式会社代表取締役坂井秀之●Eメールアドレス/ueyama@kyowa-kk.co.jp●設立年月/昭和26年7月●資本金/5,000万円●業種/電気工事、水処理プラント製作・工事●従業員数/494名19

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