平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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新型印刷機導入によるAKERUプロジェクト成功と事業の拡大1本事業への取り組みの経緯【本社工場】今後パッケージ市場の拡大を図っていくためには、多種多様な顧客からの要望に応えていかなければならない。これまで長崎県内や近隣の県を中心に営業してきたが、近隣はもとより、福岡や関東、関西などにもまだ開拓していない魅力的な市場がある。今まで取り扱ったことのなかった分野の市場に進出するため、紙の表面形状などこれまで対応が難しかった多様な紙質の印刷に対応できる設備を導入。当社のデザイン力を駆使し、「風合い感・表面の素材感」や「強度」を持つ特殊紙への印刷のほか、高い精度での加工が可能となった。これにより新たな市場開拓の見込みができ、事業化に踏み切った。2実施内容【オンデマンド印刷機COLOR1000PRESS】新たな事業は、デザイン力と紙の風合いの良さや耐久性を最大限に利用した新カテゴリーで、「AKERUプロジェクト」と命名。デザイン性の高いインテリア向けの箱や雑貨の製造に着手した。エンボス紙など表面に細かな段差があってもムラなく、広い面積の紙を貼る際にも光沢差や色ムラがなく印刷しなければ、満足の行く製品にならず、プロジェクトの成功を実現できない。既存の印刷設備では対応が難しく、この問題に対応するためFUJIZEROX社のオンデマンド印刷機COLOR1000PRESSを導入し試運転を開始。まず、段差のある印刷はクリアトナーを設けることで、転写不良の抑制に有効であることを確認。次に厚紙での連続印刷は温度安定化技術の導入で安定した高画質を維持できた。さらに用紙走行中のズレには、センサーによるローラースピードの調整で誤差を±0.5㎜以内に収めることが可能となった。最後に厚紙の折加工時にワレ現象や表面摩耗による剥がれなどがなく、印刷の定着性にも問題がないことを確認した。3取組成果・波及効果【紙製のバッグ】「AKERUプロジェクト」はオリジナルプロダクトの製品化が進み、デザイン性の高いハイエンド雑貨やデザイン性と強度を持ったインテリア向けの箱などを製作販売。現在では、ニット刺繍が楽しめるギフトボックスや布のような柄と手触りのラグ、希少な紙を使用した収納ボックスなど数種類の商品をラインナップしている。さらに設備導入による波及効果は新規事業にとどまらず、主力業務である紙器製作のバリエーションを大きく広げ、顧客への提案力や製品化力アップにも大きく貢献している。●株式会社岩嵜紙器代表取締役岩嵜大貴●Eメールアドレス/info@total-package.jp●設立年月/昭和46年5月●資本金/1,000万円●業種/紙器製造業●従業員数/63名21

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