平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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27高効率発電プラント用タービン部品の製造技術高度化・高速化による市場拡大1本事業への取り組みの経緯昭和58年1月金属機械部品の製造業を創業。これまで20年ほど使用していた加工機械があり、精度が落ちるなど製造効率の悪化が課題となっていた。また、受注先からの要望も日々高難度、短納期化し、既存の加工機械だけでは対応できず受注機会を逃してしまうケースが少なからず発生していた。平成27年2月、こうした状況を打破するため、高難度・短納期案件に対応可能な技術を獲得し中型金属製品のシェア拡大を図ることを目的に策定した「経営革新計画」を申請し、承認を受けた。この「経営革新計画」の重要な要素である技術の高度化を遂行するため、本事業にて最新鋭のCNC旋盤を導入した。2実施内容平成28年4月、より大径・長尺物ワークを可能とする大型・高出力の最新鋭CNC旋盤を導入。メーカーからの指導を受け、従業員の取り扱い技術習得とともに主力製品であるシャフトの試削を実施した。この試削では、設定が簡単で熟練工でなくとも操作が可能であることを確認。これまでは設定や稼働について技術者の経験に依存する部分が多かったため、若手従業員を教育することが難しいという課題の解消に目途が立った。また、技術者の体調などにより人為的なミスが起こる可能性もあったが、この点についても設定が簡単で精度が向上した。さらに、既存の加工機械では切削と仕上げに2台の機械を使用していたが、導入した機械ではこの工程が1台で可能となった。その結果、これまで仕上げ工程に入る前に要していた冷却時間が不要となり、加工時間が大幅に削減できることも確認できた。こうした確認事項を基に高難度・短納期という市場の要求に応え、受注拡大を図る体制を整備した。3取組成果・波及効果主力製品の一つである各種シャフトにおいては、加工時間が従来比で30~40%削減することができ、製品の精度についても大きく向上。より高度な加工技術を要する受注に対応できるようになり、取引先との関係強化に繋がった。さらに各種のビジネスマッチングなどでも県外企業との新規取引が進んだ。新規取引先からは、それまで発注していた同業者ができないような手間のかかる難しいオーダーが多いが、要望に応じ丁寧に製品を仕上げることで信頼関係を構築することができ、継続受注に繋がっている。●株式会社平成機工代表取締役中村伸二●Eメールアドレス/heisei_nakamura@theia.ocn.ne.jp●設立年月/平成1年7月●資本金/1,650万円●業種/金属機械部品製造業●従業員数/15名【新築した本社工場外観】【正確なものづくりを支える整理された本社工場】【製造加工の一場面】

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