平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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29世界遺産「軍艦島」の観光客満足度を高めるデジタルアートミュージアムの展開1本事業への取り組みの経緯平成21年4月、世界文化遺産の暫定リストに登録された端島(通称:軍艦島)への上陸が解禁となったことで、軍艦島クルーズを目的に(株)ユニバーサルワーカーズが設立された。平成27年7月に世界文化遺産に登録されたことで注目が高まった。しかし船での観光ツアーは受入席数に限界があり、海象悪化による船の欠航もあるため不安定であった。こうした中、全天候型で老若男女が軍艦島を理解し、楽しめるように最先端テクノロジーとアートを駆使、疑似体験型『軍艦島デジタルミュージアム』を長崎市松が枝町に開設すべく取り組みを開始した。2実施内容【ジオラマ×デジタル映像:シマノリズム】【軍艦島アパート30号棟:1/30模型】軍艦島は明治から昭和にかけて海底炭鉱によって栄えたが、昭和49年1月閉山、その後無人島となり、「廃墟の聖地」と呼ばれていた。平成27年7月に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」に登録され人々の関心度が一気に高まった。疑似体験型『軍艦島デジタルミュージアム』を開設するにあたって、人気の高いデジタルアート、プロジェクションマッピング、3D、ドローンからの空撮映像を使ったインタラクティブアートなどのハイテクな機材や方法を用い、軍艦島の歴史、生活、廃墟の現状、世界遺産登録後の保全への提案なども盛り込んだ施設とした。主な機材は大型マッピングプロジェクター20台、坑道体験映像用プロジェクター4台、模型用のマッピングプロジェクター4台等である。あたかも軍艦島に上陸したかのような体験ができる日本でも珍しい体験型ミュージアムのオープンを実現。長崎市松ヶ枝町のグラバー園入口に設置し観光客が立ち寄りやすい場所で、修学旅行生などへの団体割引も行っている。3取組成果・波及効果【軍艦島のアパートの暮らし】内覧会を通じて多くの方から賛同、賞賛を得た。システム全体がスムーズに連動し、不具合や故障はなかった。軍艦島の元島民から寄贈された当時の写真や映像を元に大画面に映し出される立体的な映像は、最盛期の軍艦島に降り立ったかのような感覚を味わい、島の歴史や文化に浸れる感動的な空間を作り出すことに成功した。映像、音響制作者の創造性の高さ、プロジェクター機材のクオリティの高さに伴い、日本でも類を見ない映像表現で、長崎の新たな観光名所になることが期待される。●株式会社ユニバーサルワーカーズ代表取締役久遠龍史●Eメールアドレス/info@gdm.nagasaki.jp●設立年月/平成21年7月●資本金/300万円●業種/水運業●従業員数/19名

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