平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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31新製茶ラインを活用した新たな玉緑茶の品質確立と製造・販売事業1本事業への取り組みの経緯【日本茶大賞を受賞したあさつゆ】リーフ茶の需要は減少傾向が続き、今後も人口減少などを考えると需要が増加することは考えにくい。一方、ティーバッグ型の日本茶は販売が伸びており、今後もさらに伸びることが予想される。こうした中、「日本茶AWARD2014」にてオリジナル商品の「あさつゆ」が日本茶大賞を受賞。これをきっかけに平成27年7月より農林水産省及び機械メーカー、長崎県とともに当社工場内において新型製茶ラインの実証研究を実施している。食品加工など様々な業界への販売拡大を図るため、本事業を通じてこのラインに玉緑茶の製茶機械を繋げて、新たな玉緑茶や多様な茶商品を開発を進める。2実施内容【こだわりを重ねた茶づくりを可能にする充実した設備群】設備の仕様や接続などを決定し、葉打機や揉捻機、中揉機、締機のほか、それらを結ぶコンベアや各制御装置を導入。これにより、「新型製茶ライン」だけでは「蒸し製玉緑茶」のリーフ茶を製茶することができないという弱点を補完した。その後、一番茶及び二番茶の一部を使用して試運転を重ねた。既存のラインに追加導入したため機械間の接合部分に隙間などの小さな不具合があったが、各機械を調整し解決。これらの工場設備は日本でも有数の規模となり、生産能力の向上やオリジナル商品の品質をワンランク向上することが可能となった。また、「新型製茶ライン」のうち「炒蒸機」の特徴・能力を活かした新しい玉緑茶を『炒り蒸し製玉緑茶』と名付け開発、さらに3番茶葉による紅茶・ウーロン茶の試作も行った。4~5月に収穫し製茶をして1年間販売するサイクルの中で、これまで2月頃には欠品状態となっていたが、見込まれる製茶能力向上に合わせ、管理茶園の面積も450haから800haに拡大を進めている。3取組成果・波及効果【藁かけ:遮光のための伝統的な茶づくりの手法】「新型製茶ライン」を確立させるために設備を導入した結果、新たな玉緑茶や紅茶、ウーロン茶などの多様な茶製品の開発が可能となり、工場の製茶能力は従来比で140~150%となった。フル稼働しなくても需要に対応する製茶ができるため機械のメンテナンスに時間をかけることができ、最適な時期に摘採し安定した品質の製茶も可能となった。飲料としてのお茶のみならず、食品加工材料としての納入も進み、設備増強などにより売上高は40%増となり、経営の安定化に寄与している。●有限会社茶友代表取締役松尾政敏●Eメールアドレス/you_chayou@yahoo.co.jp●設立年月/平成16年12月●資本金/300万円●業種/茶製造業●従業員数/5名

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