平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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35【玉之浦つばき】【新たに設備された貯蔵タンク】香り高い椿の花酵母を使用した焼酎の開発による売上拡大1本事業への取り組みの経緯当社は五島産の原料のみを使用して本格焼酎を製造している。五島には食用芋「高系14号」が昔から島の人の手で育てられ、「かんころ」として島の人に愛されている。この美味しい甘藷が芋焼酎の原料である。水は九州名水百泉にも選ばれた「七岳湧水」を使用している。こうした島生まれ、島育ちの焼酎として、他社との差別化を図り高い評価を受けているが、製造法や酵母の使用など特徴を持った香りを持つ焼酎作りにおいて課題を抱えていた。そこで五島の象徴である椿の花酵母を使用、これまでにない華やかな香りを持った麦焼酎の開発に取り組むことを計画した。2実施内容五島と言えば椿。その椿の花を活用した麦焼酎を開発するための設備導入を計画した。椿酵母の焼酎専用に一次仕込みタンクを増設し、仕込みの際はビニールカバーで覆うことで既存酵母による影響をなくす。次に撹拌機能付きの貯蔵タンクを設備し、新商品の貯蔵及び作業負担が大幅に軽減されることでコスト削減を図った。具体的には撹拌機能付きのステンレス製角型貯蔵タンク29KL、同39KLの2基と620Lジャケット付開放タンク(花酵母一次仕込用)を設備した。この結果、椿の花酵母特有の比較的長い熟成期間が短縮され、早いサイクルでの新商品の出荷が可能となった。平成28年6月仕込みを開始。椿の花酵母を使用し、繊細な香りを引き立たせるために米麹を使用した麦焼酎にした。試作した麦焼酎の検証・評価を行い、度数は椿酵母と米麹が麦の香りを抑え、華やかな香りと甘み感じることができる23度とした。パッケージは五島の新しい焼酎にふさわしい椿をデザインしたものとし、容器は四角柱、容量は500MLのみとした。3取組成果・波及効果平成29年2月、「五島椿」2,000本を限定販売(500ML・¥1,100)し即完売。椿の花酵母を使用した初めての焼酎というインパクトに加え、香りの良さ、ほど良い甘みなどが評価を受けた。平成29年12月には1万本を販売。五島や長崎のお土産店、飲食店、ホテルなどをターゲットに営業を推進している。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産登録されると観光客が大幅に増えることが予想される。「五島椿」が五島はもちろん、長崎の代表的な焼酎ブランドになることを目指している。●株式会社五島列島酒造代表取締役三﨑清一郎●Eメールアドレス/otoiawase@gotoretto.jp●設立年月/平成18年2月●資本金/2,600万円●業種/焼酎製造業●従業員数/6名【工場外観】

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