平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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39建設現場のニーズに応えた3D測量設計モデルの開発事業1本事業への取り組みの経緯【今回の事業で導入した各種測量機器】インフラ整備事業に関わる測量・調査・設計のほか、建設業者が土木工事着工前に行う着工前測量業務を主力業務とする。平成23年5月の創業当時より、従来型の2次元で作成した設計図では完成イメージをつかみにくく、土量計算などにも誤差が生じ工事の遅れやコスト増を招くという課題があった。そこで本事業を活用し、現場の詳細な地形データを効率よく測定し図化できる3Dレーザースキャナーやソフトウェアを導入。PC内で建設するインフラを1/1サイズで再現する3D測量設計モデルを構築する体制を整えた。同じ設備を所有する県外企業の進出を許している現状への危機感も導入の契機となった。2実施内容【現場での測量作業風景①】求める3D測量設計モデル確立のための設備選定を進めた結果、3Dレーザースキャナーはライカジオシステム製の世界最高峰と言われるモデルを導入。また、それに付随して3Dデータ解析ソフト、編集ソフト、3D設計製作ソフトなどのソフトウェアを導入した。代表者や従業員全員で基本操作の習得に努め、実務レベルに達するまでの技術習得を進めた。既存取引先やメーカーの協力を仰ぎ、長崎県内の河川築堤建設現場において、3Dレーザースキャナーを使用した着工前の地形測量を実施し、得られたデータの解析・編集。これを基に3D設計制作を行い3D測量設計モデルを構築し、盛土量・切土量の土量計算を実施。特に解析・編集作業において想定外の時間を要したが、実地経験を積むことでソフトウェアの早期習得に繋がり、3D測量設計モデルにおいても今後の標準となり得る実績を残すことができた。この実地経験では作業日数が従来法と比べ半減、ソフトウェアの習得状況によりさらに削減できる目途がついた。3取組成果・波及効果【現場での測量作業風景②】本事業で導入した設備により1/1モデルで建設物を再現できるようになったため、作業員全員で完成イメージを共有することが可能となった。これにより既存取引先との関係が強化され、安定した受注確保に繋がった。また、建設業界以外の造船業や配管が入り組んだプラント構内など、受注の幅が広がりつつある。ICT技術を用いた建設機械の遠隔操作においても3D測量設計モデルを基本データとしており、スピードと正確さを要する災害復旧計画策定に伴う測量・調査など市場のニーズは高い。●青心工測株式会社代表取締役三宅政寛●Eメールアドレス/seishin_kousoku@cap.bbiq.jp●設立年月/平成26年10月●資本金/100万円●業種/測量設計業●従業員数/3名

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