平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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41下降線をたどる島原手延べ製麺業界で、生き残るための新しい麺開発1本事業への取り組みの経緯【茹でてもヨリを維持する麺づくり】歴史と技術に裏打ちされた麺技術に定評がある島原手延べ素麺の製造業者の1社として、クオリティの高い製品を供給してきたが、廉価品の台頭などで平成15年頃をピークに需要は減少傾向となった。代表はその頃より素麺に代わる新たな麺製品の開発の必要性を感じ、素麺の製造を続ける傍ら新たな麺の開発に着手した。幾度の失敗を重ね辿り着いたのが「よりかけ麺」。麺全体に螺旋状の「ヨリ」をかけ、茹でても「ヨリ」を維持しているため、スープやソ-スが絡みやすいという特徴があり、国産小麦100%のモチモチ食感も好評で、量産体制を構築するために製造機械導入を計画、本事業を活用した。2実施内容【茹でてもヨリを維持しスープがよく絡む】螺旋形状が「よりかけ麺」の大きな特徴の一つであリ、対応する機械についてメーカーとともに検討した。当初予定していた回転機能付き中空ガイド管(単独麺捻じり部品)だけでは最適な捻じり形状が維持できなかったため、受けるタライも同時に回転させることにより安定した捻じり形状を維持できることに成功し生産性も向上。麺の切断についても様々な種類のカッターで試行錯誤を重ね、ダイヤモンドカッター刃を用いた切断機に回転速度を調節する機能を付加し、割れの少ない長さの揃った麺を安定的にカットできるようになった。使用する小麦粉は大手メーカーと協力し20パターンほどのブレンド試作を行い、最適のものを選定。また、完全な自社オリジナル製品としてブランドを確立するため、螺旋形状の乾麺や製造装置、量産対応装置についての実用新案登録を進めたほか、平成28年4月「よりかけ」を商標登録した。こうして販路拡大を進めるうえでの体制が整った。3取組成果・波及効果【特産品新作展の表彰状など】「長崎アンテナショップ日本橋長崎館」や「アミュプラザ長崎」などでの取り扱いがスタート。また、テレビ番組や雑誌で紹介されたほか、平成29年3月には第48回長崎県特産品新作展優秀賞を受賞、「よりかけ麺」の知名度は高まっている。この間、楽天市場内で「よりかけ麺」の検索履歴が多々あったことで出店の打診を複数回受け、当初は条件面で折り合わず出店を見送っていたが、その後好条件での打診を受け、現在出店に向け最終調整に入っている。また、商社との商談も進めている。●山翔代表山田康彦●Eメールアドレス/tenobe-yamasyou@gaea.ocn.ne.jp●設立年月/平成5年4月●業種/食料品製造業●従業員数/3名

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