平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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43大規模農家向け中型乗用自走式農業機械の製造と販売1本事業への取り組みの経緯【レーザーパンチ複合機M2558HL】昭和24年4月、鋤や斧など鍛造刃物の製作会社を創業したのが始まり。その後大手メーカーのOEMにて農機具製作を開始、独自の技術力を蓄積して、自社製品の開発に着手した。主に馬鈴薯(じゃがいも)、玉葱(たまねぎ)生産の小規模農家向けに小型農業機械を製造販売してきた。さらに現在は、大農家向け自走式中型農業機械の公開実証試験を実施し製造販売を開始。農家の高齢化に対応するため作業の負担軽減、効率化を実現する「アガール」は市場の反応が良く、大手メーカーやユーザーより安定供給を強く要望されている。そこで最新式CNCレーザーパンチ複合機を導入し、量産体制を整えることを計画した。2実施内容【じゃがいも茎葉引抜機】農機具メーカーのクボタとの共同開発により『じゃがいも茎葉引抜機』や『たまねぎ収穫機ボニータ』を開発し、その技術力は高い評価を受けている。こうした中、より精度の高い加工技術と生産性の向上を目的に、多品種小ロットの機械生産をするためにタレパン・レーザー加工複合機の導入を決定した。金型がなくても部品成型が可能になり、製作時間を大幅に短縮しコスト削減に貢献できる。また金属だけでなく、アクリルなどの樹脂材に応用することで、これまで外注していた工程を内製化することができる。導入した機械は多品種少量生産・短納期・コスト削減を実現するため、村田機械製最新モデルのレーザーパンチ複合機「M2558HL」。実際に箱型部品を製作し、従来式との製作方法を比較し優位性を明確にした。樹脂材料の切断加工実験を行い、被加工面の表面粗さが最小となる最適な加工条件を決定、これまで外注していた樹脂材料を内製化することでコスト削減、短納期に対応できるようになった。3取組成果・波及効果【たまねぎ収穫機(クボタ)】生産コストは10%の削減、最新モデル設備で図面からプレス加工でコストダウンが図れた。納期は10%の短縮、リードタイムが短縮可能となり生産能力が向上した。最新モデル設備では掴み換えなしなので加工精度は±0.1mm以内となった。箱型部品の作成時間において従来30分要するところ20分となり、異種材料(金属と樹脂材料)に対応可能となり成果を上げた。中規模農家向けに開発したじゃがいも・たまねぎピッカーの「アガール」。高齢化が進む日本各地の産地でニーズが高まっている。●田中工機株式会社代表取締役田中博●Eメールアドレス/info@tnkk.net●設立年月/昭和43年11月●資本金/1,000万円●業種/農業用機械製造●従業員数/24名

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