平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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45地域資源を活用した世界的にも珍しい「魚で造る味噌」の製造販売1本事業への取り組みの経緯【長崎近海で獲れた水産物のみを使用】従来多品目の海産物加工品を製造販売していたが、火災被害に遭い工場を焼失したことをきっかけに、5品目に絞り事業を集中化し、顧客への商品供給を切らさず事業を継続する体制づくりに取り組んできた。無添加の自然食品であることや味の良さで評価が高まり受注を伸ばしていく中、バイヤーより日本人に不足しがちな「カルシウム」を多く摂取できる商品を供給してくれないかとの引き合いがあった。その要望に応えるべく、カタクチイワシやアゴを原料にした「魚醤油」、煮干しを原料とした「煮干しみそ」を開発・商品化してきた実績に基づき、新たに「魚味噌」の開発に着手するため加工設備を導入した。2実施内容【導入したスチームコンベクションオーブン】カルシウムを豊富に含む商品とするため、真鯛の頭部分を丸ごと使用することを発案。真鯛の頭は一部のスーパーや鮮魚店などで販売されているだけで、そのほとんどが活用できていない。しかし、味噌の原料に利用でき、味にも問題はないことがわかっていた。まずは長崎県水産試験場や長崎県工業技術センターなどの協力を得て、硬い骨がある頭の部分の加工方法を考案した。そして既存の設備に真空包装機やスチームコンベクションオーブン、攪拌機、充填機などを新たに導入することにより、滑らかな舌触りの味噌を安定した品質で増産できる体制となり、商品充填などの作業効率化とスピードアップも実現できた。こうした過程を経て平成29年4月より、普通の味噌原料である大豆を一切使わず、魚など水産物だけを原料として保存物や添加物、化学調味料、砂糖を一切使用しない自然食品の魚味噌として販売開始。真鯛という高級魚のイメージも商品価値を上げるのに一役買っている。3取組成果・波及効果【導入した充填機】現在では味噌の加工技術を活かし、「真鯛」の他にも「アゴ」や「いわし」、「烏賊」、「コノシロ」、「ミックス」を加え6種類を『平戸魚味噌』としてラインナップ。東京都中央区にある長崎県のアンテナショップ「日本橋長崎館」や長崎県平戸市にある地元特産品を販売する「平戸瀬戸市場」で販売している。購入した消費者からは「生臭くなく食べやすい」「魚が原料とは思えない」「味噌汁だけに使用するのはもったいない。調味料としても使いたい」などの反響を得ている。●長田食品代表長田政俊●Eメールアドレス/mail@nagata-shokuhin.com●設立年月/平成3年1月●業種/海産物加工業●従業員数/5名

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