平成29年度発行 ものづくり事例集(第3刊)
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航空機難削材部品加工及び検査改善による競争力強化プロジェクト1本事業への取り組みの経緯本社は埼玉県児玉郡上里町。長崎工場において航空機で使用する複雑な形状をしたチタン合金部品の切削加工に特化した事業を手掛けてきた。チタン合金は難削材であるため、アルミなどの部材に比べ切削に多大な時間が必要となるほか、コストの高い特殊な切削工具を必要とし、かつ工具の摩耗や欠損により仕上げ加工面の品質維持が困難という課題があった。市場拡大にはこれらを解決する必要があり、切削加工条件の改善点を探るべくCADや切削加工用シミュレーションソフトなどのシステムを導入。また、機体の大型部品にとどまらず、エンジンの小型部品の切削加工技術確立を目指し、ロボドリルを導入した。2実施内容切削加工用シミュレーションソフトなどのシステム導入により、効率的な切削工具の軌跡を追求し、加工時間の短縮や加工面の品質向上を目的とした切削加工技術の確立、適正刃物の選択などの改善策を立案してきた。また、小型部品の加工が可能となるロボドリルについては、機械のポテンシャルを最大限引き出すため操作を習得し、これまで取り組んできた切削加工技術を以って、高精度を要求されるエンジンの切削加工に取り組んだ。加工技術の確立に取り組んだ結果、航空機で使用する小型のエンジン部品の加工に成功し、その技術をより確固たるものにすべく試作を重ね、精度を高めていくことに注力した。航空機メーカーからは品質良好との評価を得て、同型のロボドリルを3基追加導入。ロボットで航空機の小型エンジン部品を量産する体制を整えた。3取組成果・波及効果【ものづくりの原点はやはり「人」】顧客から提供された図面データを即座に切削加工用データや検査用データに変換する体制が整い、時間を要した整合性チェックの時間は全て削減できた。効率的な切削工具の加工軌跡を確立し、工具寿命が伸び、時間も平均50%削減できた。また、刃物の形状を自動把握するシステムにより、人為的なミスの可能性がゼロとなった。ロボドリルについては、全4基導入により航空機エンジンで使用する小型部品の量産体制を確立、航空機メーカーの期待に応えるよう体制を整えた。●株式会社ウラノ代表取締役小林正伸●Eメールアドレス/m-kobayashi@kk-urano.jp●設立年月/昭和38年11月●資本金/8,000万円●業種/金属製品製造業●従業員数/370名【整理の行き届いた長崎工場の様子】【部品加工製造の一場面】07

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