平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
15/68

Company Information課  題取  組結  果IT技術を活用した門型1軸ドリルマシーンを導入し、ジャストインタイムを実現■孔あけ加工時間50%削減■外注費50%削減■作業効率が大幅に向上■作業者の労力低減、労災防止■門型1軸ドリルマシーンの導入■データバンクシステムの導入■外注先の都合による納期のズレ、工程の遅延■型紙製作ミス、漏れによる不良品、欠品の発生■代表者/代表取締役社長 栗林 宏光■設 立/昭和43年9月■資本金/9,500万円■業 種/鋼構造物工事業■従業員/107名☎095-882-6800  FAX.095-882-6803http://www.kenko-g.co.jp■本社及び本社工場/〒851-2101 長崎県西彼杵郡時津町西時津郷1000-216日並工場/〒851-2108 長崎県西彼杵郡時津町日並郷339琴海ヤード/〒851-3101 長崎県長崎市西海町2269株式会社ケンコー 鋼構造物工事業を営む株式会社ケンコー。鉄骨製作工場として、長崎県内における最上位ランクに当たる国土交通大臣のHグレードを取得している企業である。 鋼材を仕入れ、建築物の柱・梁に組み立て加工し、建設現場で施工を行うが、その中での孔あけ加工の工程の一部は、外注に委託している状況であった。この場合、先方の工程に左右され、結果、納期ズレが発生し、自社工程に遅延が生じることが課題として上がっていた。 また外注時には、設計図面から加工用の孔あけ型紙を作成し依頼するが、「型紙製作ミスによる不良品発生」「型紙製作漏れによる欠品発生」等の問題も発生していた。 県内有数の総合建設業者である同社にとって、これら課題の解決は必要不可欠な取組である。 競争力強化には工程の短縮が必要である。外注の際の部材納期には2週間程度かかるが、これを内製化することで工程遅延の軽減を目指した。 ただし、同社の事業規模を考える場合、全ての孔あけ加工を内製化することは難しい。そこで、内容を吟味し、実際に機械を扱う人間に見てもらって、使いやすさ等の観点から門型1軸ドリルマシーンを導入するに至った。 また、同社の強みであるHグレードでは、高層ビルを建築することができるが、その際に許容される加工誤差値は2mm以内であるため、加工技術と精度も合わせて求められる。設計CADにより製作された図面データを直接ドリルマシーンへ通信するデータバンクシステムを導入することで、型紙製作ミス等による不良品の発生を軽減し、加工精度の向上を目指した。 ドリルマシーンの導入により、一度にセットできる鋼板の増加及び鋼板加工速度が飛躍的に改善したことで、孔あけ加工時間は50%削減したが、それよりも大きな成果はジャストインタイムで次の工程にかかれるようになったことである。外注先の都合による納期のズレや工程遅延がなくなったことで工事全体の工程が組みやすくなり、作業効率が大幅に向上した。作業者の労力低減に加え、外注費も50%削減。また、機器の操作性も向上したため労災防止にもつながっている。 加工精度に関しても、データバンクシステムの導入によりミス、ロスが激減。型紙製作工程が省ける等手間もかからず、許容範囲内の精度を実現している。 また、操作性および加工精度の向上により、熟練者でなくても一定の教育を受けることで扱えるようになるため、建設業界が抱える人材難という課題にも対応できると期待される。県内最上位ランクのHグレード企業も、孔あけ加工に左右される作業工程。加工時間の短縮と外注費の削減の他、作業工程が組みやすくなった。孔あけ加工工程を内製化することで、工程の短縮と加工精度の向上を目指す。Hグレードを取得している企業は県内に3社しかない。株式会社ケンコーはその内の1社である孔あけ加工の内製化により、次の工程にもスムーズに移行できる。設計から施工まで一貫して行う企業だからこそ、一つのつまずきも無視できない鉄骨同士をつなぐのに必要な孔。高層ビルともなれば、小さな誤差が大きなズレになりかねないため、かなりの精度が要求される取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果13製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る