平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
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Company Information課  題取  組結  果深い藍色を演出し消費者から好まれるブランド日用食器の生産拡大で競争力強化■歩留りの向上■生産効率のアップ■直売販路の拡大■大型かつ、必要な制御性、自動化を有する焼成炉の導入1.5㎥ガスシャトルキルン■食器製品の2.5ヶ月以上の受注残■焼成炉容量の制限■焼成炉の老朽化■設 立/平成2年4月■資本金/1,000万円■業 種/陶芸製造小売■従業員/4名☎0956-85-2157  FAX.0956-85-2153■所在地/〒859-3705 長崎県東彼杵郡波佐見町永尾郷2235■代表者/小林 晴敏有限会社敏彩窯 全国でも評価の高い波佐見焼。中でも敏彩窯は、多種の釉薬と藍色コバルト顔料をもとに、鮮やかな藍色の色合いと多彩な釉の風合いを自社開発し、製造販売を行なっている。 近年、波佐見焼の注目度が高まり、また絶妙な階調の敏彩窯特有の藍色が人気を博し、市場からの要求数量は恒常的に11,350個/月を超える状況である。しかし一方で、製造量は最大7,280個/月に止まり、約4,070個が納入残となっている。 約35%のロスの原因は焼成炉容量の制限があること、およびその老朽化にある。現焼成炉は密閉度が低く、熱効率が悪いため色ムラが出やすい。焼成品を最大限商品化にできないことも課題であった。 そこで、生産能力を増加させる大型の焼成炉を導入。ただし、これは単純に大量生産ができればいいというものではなく、究極の藍色を基調とする製品の品質を保つものでなければならなかった。そのため、従来比1.5倍の収容能力に加え、高い精度要求に応え得る制御性、自動化を有する焼成炉を選定。 主な特徴として、炉内温度分布がより均一となる。各バーナーは個別に手動で微調整が可能。風などの自然現象にも自動で対応し、炉内の温度、酸素を調節。焼成時に炉外で次の段取りができるよう台車交換機能を有する等が改良された。 設備を導入後も、テストピースを何度も焼いて、熱の伝わり方、発色の仕方を研究し、敏彩窯の商品としてふさわしい品質となるようプログラムを調整した。 実働後、色ムラは減少し安定した品質を提供できている。製品の特性上、どうしてもキズなどが付いてしまい欠品がゼロになることは難しいが、それでも1~3%に止まり、歩留りは格段に向上した。 生産量に関しては、近年多発する自然災害の影響で原料が手に入らないこともあり、数字としては残せていないが生産能力が1.5倍となったことは間違いない。その他、一部自動化により、生産効率が格段にアップしたことも大きな成果である。焼き物の窯入れ・窯出しの作業や、自然現象の変化による窯の状態を見る作業が少なくなったことで絵付など手作業にこだわった作業に時間を費やすことができるようになり、作品のブランド化を強化することにもつながった。また、商品のバリエーションも増え、これまでほとんどなかった直売が1割程度増加している。隣接するギャラリーに足を運ぶお客様も増えた敏彩窯の特徴である自然味のある風合いは、手仕事から生まれる需要はあるが供給が追いつかず、約35%の販売機会の逸失。市場ニーズに応えるとともに、個人のお客様にも販路を広げる。量産性と品質の再現性を併せ持つ新しい設備を。生産能力1.5倍の焼成炉。焼成条件を高精度で制御できる取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果17製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

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