平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
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課  題取  組結  果海外タイヤ工場向け装置部品製造の生産性向上による世代交代計画■売上が30%アップ■廃棄物50%削減■従業員2名雇用■汎用機能とNC制御機能を併せ持つCNCフライス盤の導入■設備老朽化による作業効率の悪化■加工精度の限界による受注の制限■ベテランから若手への世代交代Company Information■設 立/昭和45年1月■資本金/300万円■業 種/機械加工■従業員/7名☎095-892-0812  FAX.095-892-1847■所在地/〒851-0401 長崎県長崎市蚊焼町3624番地■代表者/代表取締役 髙比良 真美株式会社司製作所 金属切削加工の中でも、とりわけ複雑形状の精密加工を得意としている司製作所。円安を背景に海外生産工場向けの生産装置部品受注が増加していた。 海外工場向け市場は修正追加工ができないなどの理由により、国内向け以上に部品精度要求が厳しい。加工精度に強みを持つ企業ではあるが、製品の多様化や高性能化に加え、設備老朽化により加工精度が低下していた。顧客からの要求加工精度を維持するために追加工頻度が高まっている状況であり、中には船の時間に間に合わせるため、手作業で対応したこともあった。 その上、精密加工の主力担当者の高齢化も課題としてあり、ベテランから若手への技術継承や将来の事業継続への対策も急務であった。 精密加工技術の向上と技術継承の課題を一気に解決すべく、汎用機能とNC制御機能を併せ持つCNCフライス盤を導入。 NC設備の操作に不慣れなベテラン技術者もいるが、導入設備は汎用機としても使用できるため、全社員が最新設備をすぐに使いこなすことができる。つまり、ベテラン技術者が持つ汎用機械加工技術と最新型NC制御による高精度加工技術の両方を修得できるという、同社にとっては非常に使い勝手のいい設備である。 また、当機はATC(自動工具交換装置)付であるため、これまで複数台で行なっていた加工が1台でできるようになることも大きい。従来の方法では、加工物を付け替える時にわずかなズレが生じる可能性があるが、0.01mmの精度を要する加工では、このズレが致命傷になりかねない。加工物を付け替えずにすむことで加工精度の向上も期待できるのである。 設備の導入により、これまで前加工しか受注できていなかったレベルの精密加工も、仕上げ加工まで受注できるようになった。仕事の幅が広がったことで、売上も30%程度向上している。 また、加工精度が上がったことで、考査外れによる廃棄物も50%程度軽減。生産効率の向上により利益率も増加し、事務員1名と作業員1名の雇用にもつながった。フライス盤は長男が、旋盤は次男が主に担当しているが、どちらも設備を使いこなし、製作者としての責任と自覚が出てきたのは目に見えない成果である。 平成30年度の補助金で、最先端のマシニングセンタを導入する予定であるが、今回の設備は、先代と次代をつなぐ意味でも有益な導入であった。先代社長(写真左)は生粋の職人NC旋盤での加工0.015mmの差をコントロールする精密加工。作業する姿も堂に入っている設備老朽化による作業効率の悪化に加え、技術者の高齢化と技術継承も課題。3割の売上アップと従業員2名の雇用。何より若手の成長につながった。生産性の向上と、ベテランから若手への技術継承をクリア。更なる技術向上の追求へ。取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果19製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

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