平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
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課  題取  組結  果Company Information生産力増強のための設備導入策と地域資源を活かした新商品開発■生産効率の向上■生産体制の内製化を確立■新規卸先を獲得■生産工程の一部機械化による生産力の向上自動包あん機の導入■商品欠品の発生■納品増加のニーズ■新商品の開発■設 立/昭和16年■業 種/菓子製造・販売■従業員/5名☎0956-22-7274  FAX.0956-22-3090http://shigeruseikaho.com/■所在地/〒857-0863 長崎県佐世保市三浦町1-23 アルカス佐世保前■代表者/鐘ヶ江 順子志げる製菓舗 志げる製菓舗は、カステラや丸ぼうろ等、長崎県にまつわる菓子を製造、販売している和菓子店である。 中でも5年前に商品化したオリジナル丸ぼうろの「SASEBO BOLO」は、独特の食感が評判を呼び、売上が5倍になった人気商品である。現在、卸10%、店売り90%の売上比率であるが、週に1日は欠品が生じており、卸先から納品増加の依頼が続いている。このような状況にあって、新たな顧客からの引き合いがありながらも取引ができないでいた。 原因は手作業中心の生産体制にある。生地をこねる、上げる、伸ばす、抜く、重さを計る、並べるといった工程は職人の技術力を要するためパートでは賄えない。また、職人の高齢化により年々生産体制が弱まっていることも課題であった。 そこで、生地成型の機械化を検討し、自動包あん機を導入した。導入に際し検討したことは、お菓子に合わせて機械を考えるのではなく、機械に合わせてお菓子を作ればいいということ。 作業効率の向上を前提とした時、一つの機械で一つのお菓子を作れればいいというわけではない。お菓子によっては、あまりこねたくない生地もあれば、別のお菓子ではドロドロとした餡を丸めたい場合もある。その点、今回導入した自動包あん機は、生地生成のこねる強さを調整でき、汎用性に優れた設備を望む同社にとってうってつけの機械だった。 また、手作業の場合、商品によっては粉を振ったりと無駄な原料を入れなければならないこともあるが、機械化にすることでそれらが不要となる。これにより安定した品質、衛生的な商品の実現も期待されるのである。 「丸ぼうろ」の製造を例にとると、これまで2人の技術者が必要だったものが1人の技術者と製造補助員1人で製造できるようになった。実は設備の導入後、体調面の理由から職人の勤務日数が限られる状況になったのだが、作業効率が向上したおかげで欠品を生じさせることなく製造できている。仮に導入できていなかったら、週に1日の欠品ではすまなかったであろうことを考えると、効率化以上の意義があったと言える。 他にも当初の予定通り、「丸ぼうろ」以外の商品にも転用し、約70%の商品製造の機械化に成功。これまで、知り合いの工場を借りて製造していた商品も自社でできるようになった。 量産体制が整い、ギフト商品として新たな卸先も獲得。これを機に、佐世保市だけでなく全国でも通用するように、味覚の向上と賞味期限の延長等、品質の改善に注力している。店舗外観。地域に根ざした和菓子店であったが、洋風和菓子店へのブランドイメージの転換を図った今回導入した自動包あん機卸先から「お客様に自信を持って勧められる」と高評価のお菓子。「SASEBO BOLO」は1個90円と手頃な価格もあって人気商品佐世保のお土産として定着した商品は、欠品が生じるほどの人気ぶり。生産効率の向上で欠品もゼロに。ギフト商品として全国展開を目指す。お菓子に合わせた機械の導入ではなく、機械に合わせてお菓子を作る。取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果33製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

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