平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
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課  題取  組結  果Company Information甘酒製造の生産性向上と開封後の保存性改善及び新甘酒製品の開発■作業効率の向上■商品群の拡大■新規取引先の獲得、個人顧客の増加■スパウトパック充填装置の導入■簡易貫流蒸気ボイラ、固定式蒸気釜の導入■手作業による人員不足■共用設備の稼働の限界■顧客の利便性の改善川添酢造有限会社■設 立/昭和27年11月■資本金/300万円■業 種/酢・味噌製造・販売■従業員/8名☎& FAX.0959-22-9305http://kawazoesuya-web.com/■所在地/〒857-2326 長崎県西海市大瀬戸町雪浦下郷1308-2■代表者/代表取締役 川添 成行 川添酢造有限会社では、醸造酢をはじめ、その製造過程で造っている「麹」や、麹を使った「甘酒」、「味噌」を製造販売している。近年、発酵食品に注目が集まったことから売上は順調に伸び、2016年の甘酒ブームにより、「甘酒」と甘酒を作る素の「米麹」の売上はさらに上がることが予想された。 従来は、直火釜による製造であった為、燃焼効率や釜の温度管理、甘酒の充填作業を手作業で行うことによる人員不足を考えると、甘酒の製造量は限界に近いものであった。 また、使用しているパウチ袋は注ぎ口が無く、注ぐ際に液垂れが発生する。閉じることもできないので開封後は保存がきかないなど、顧客より改善点の要望も多数あった。 ボイラ釜の稼働効率対応では、簡易貫流蒸気ボイラと固定式蒸気釜を導入。これまで、米を蒸す作業、麦を蒸す作業、その他加熱処理も1つの釜で行っていたが、蒸す作業と加熱処理の生産ラインを切り離すことで生産効率の向上を目指した。また、蒸気釜には攪拌機能を付けることで、従来の加熱時には必要だった人員を削減できるようにもした。 甘酒の充填作業工程は、袋の開封、甘酒の計量、充填、密封があり、それぞれに1人、計4人の人員を要していた。これを改善するためにスパウトパック充填装置を導入。時間短縮、人員削減を図る他、キャップがつくスパウトパックとすることで注ぎやすく、開封後も保存できるなど、顧客ニーズへの対応も可能にすることが狙いである。 今回の設備導入により、作業効率が大幅に改善したことは間違いない。殺菌工程の加熱時間は約90%軽減し、更に従来の釜では別工程の作業が行えるのである。充填装置では、これまで4人必要だった人員が1人でよくなり、しかも生産量は変わらないため4倍の生産効率と言える。 パックにキャップがつき、開封後も保存できるようになったため、従来の500g商品に加え、1kgの業務用商品も展開。甘酒だけではなく、練り味噌の充填にも用いるなど商品の幅を広げ、新規取引先の獲得や個人顧客の増加につながっている。 また、「芋甘酒ペースト」の新商品開発にも着手。原料難等により商品化には至っていないが、目処はついている状況である。守り継がれる機械に頼らない昔ながらの製法と丁寧な仕事キャップがつくことで保存が可能となった大幅な時間短縮と人員削減を可能にしたスパウトパック充填装置甘酒の需要はさらに高まるも、製造量はすでに限界。作業効率が大幅に改善し、他の商品もしっかり作れるようになった。生産効率の向上と、顧客ニーズへの対応を一度に解決。甘酒だけでなく、麹や味噌、酢も好調な売上。作業の効率化は図れたが、注文分に応えるので手一杯の状況である取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果35製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

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