平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
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課  題取  組結  果Company Information玉葱生産の収穫支援と機械化による売上拡大と付加価値向上■玉葱生産者の作業の軽減と所得の向上■玉葱生産の安定化■新規販路流通の開拓■玉葱茎葉切収穫機の導入■玉葱根切掘上機の導入■玉葱収穫機の導入■オニオンタッピングマシーンの導入■玉葱生産者の人手不足■玉葱生産者の所得低下■玉葱生産規模縮小の懸念■設 立/平成19年2月■資本金/2,500万円■業 種/農業生産・青果卸・農業資材製造販売・生産組合管理(事務局)■従業員/50名☎0959-27-1740  FAX.0959-27-1739https://daichi-inochi.com■本 社/〒851-3302 長崎県西海市西彼町中山郷1968-2崎戸食品工場/〒857-3101 長崎県西海市崎戸町蠣浦郷1415-1■代表者/代表取締役社長 生田 智昭株式会社大地のいのち 大地のいのちは、遊休農地の活用を目指し、農家に農作物の生産を委託。収穫支援、卸、加工販売を行なっている。その中で取り扱う玉葱に関しては年間800トン程度の取引を行なっているが、生産現場では、近年、生産者の所得が減るとともに、規模拡大もできず、むしろ縮小せざるを得ない状況となっている。 その主な要因は「人手不足」である。収穫時に人手が必要な玉葱生産では、通常、その時期に人を雇って収穫をするが、近年では、人手を確保すること自体困難になり、かつ、その賃金も高騰していることが大きな課題となっている。 機械化を推進するにも、小さな畑が点在する長崎県にあっては、一農家が導入するには厳しく、結局は手作業で行わざるを得ない状況となっている。 一農家での機械化導入が厳しいのであれば、同社で導入し収穫作業を代行しようと考えた。農家からすれば同社に委託する形となるが、作業の軽減により生産規模の拡大が図れ、結果的には所得の向上につながる仕組みである。同社としても玉葱生産の安定化が図れるメリットがある。この実現のため、玉葱茎葉切収穫機、玉葱根切掘上機、玉葱収穫機、オニオンタッピングマシーンを導入し収穫支援サービスを展開した。 また、同時に販路流通の改善にも取り組んだ。玉葱は、根と葉を切って出荷する「根切り・葉切り」の流通形態が主流であるが、加工・中食・外食向けの業務用などでは「根付き・葉付き」でも問題はない。「根付き・葉付き」による流通形態へシフトできれば、根切り・葉切りの工程がないため主流である流通形態より安く提供できるのである。 収穫作業の機械化により、生産者の労力は軽減。他品目の野菜も作るようになるなど、農家の技術継承にも大きく貢献し、期待通り生産規模を広げ、所得が3倍になった農家もいる。何より「農業がやっと楽しくなった」との声が聞かれるのは嬉しい。 取引量も作物の出来、不出来により差があるものの1,000トンまで拡大した他、販路流通の改善に関しても、加工・業務用では「根付き・葉付き」による流通形態が今では当たり前の状況になっている。 また、業務用だけでなく、主婦も何かと時間に追われる現代では、例えば「玉葱1個」よりも「カットされた玉葱」の方が需要が高いと考えられる。今後は、農作物そのものよりも、それを加工することで付加価値をつけ更なる販路の拡大を狙いたい。2018年5月に完成した崎戸新工場外見を重視するスーパーや生協へは従来通りの「根切り・葉切り」玉葱。加工・業務用へは「根付き・葉付き」玉葱を展開崎戸新工場では、すでにさつまいもを使った加工品「干しいも」「焼きいも」の製造が始まっている玉葱生産は多大な労力の割に所得が圧迫されている状況。所得が3倍になった農家も。「農業がやっと楽しくなった」との声。作業の機械化、販路の改善。収穫支援サービスを展開。取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果39製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

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