平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
45/68

課  題取  組結  果Company Information大量廃棄される食品廃棄物、規格外農産物の酵素処理による豚用液状飼料化技術の開発■週30トンの液状飼料を製造■長崎県内の農場2ヶ所に供給■長崎県農産物での循環化を目指した新たな取組■エコフィードの確立・液状飼料を量産製造できる設備の導入・酵素反応の最適化への検証・液状飼料の飼料価値の検証■野菜くず、調理残渣、麺類、飯類等食品廃棄物の増加■国内飼料自給率の向上■飼料穀物の高騰一般・産業廃棄物リサイクル事業を展開している平木工業株式会社。廃棄物の中には食品廃棄物も多く含まれ、これらを原料とした豚用液状飼料ができないかと考えた。 食品リサイクルによる資源の有効利用に加え、国内飼料自給率向上を目的に、農林水産省ではエコフィードを推進。畜産農家も、飼料穀物高騰やTPP問題を背景に低価格で質の良いエコフィード飼料に対する関心が高まっているからである。 そこで、飼料専門家、養豚農家、排出事業者からなる「長崎県食品リサイクルループ高効率システム構築検討会」を発足。調理くずと野菜くずを組み合わせることで、栄養バランスのとれた飼料開発に取り組んだ。 検討会での混合飼料の成分分析結果や嗜好性試験給餌の結果を踏まえ、飼料の量産製造設備を導入。大量製造の試作に入った。 しかし、技術的に一定の目処が立ったとは言え、大量製造は容易ではなかった。日々運び込まれる多種多様な食品や野菜くずに含まれる難消化性物質を、消化しやすい糖類に分解するため、酵素処理を行うのだが、食品残渣の種類に適した酵素の選定および複合利用について度重なる検証が必要であった。液状飼料の理想水分量を達成するために、野菜くず、調理残渣、麺くず、飯類など食品の組み合わせの割合を何度も調整した。結果、想定する飼料ができたと思っても、保管温度が低下するとでんぷん質が沈殿、糊化が起こるという新たな課題も発生し、でんぷん質分解酵素を投入するなど試行錯誤を続けたのである。 そして、実に3ヶ月の実証実験を経て、酵素反応を最適化するための、製造設備側でのpHおよび温度コントロール技術を確立した。 現在は、週30トンの液状飼料を製造し、長崎県内の農場2ヶ所に供給している。生産者から「飼料を増量してほしい」との声をいただくなど評価も高い。しかし、液状飼料は現状で完成ではなく、現在も長崎県農林技術開発センター畜産研究部門で、液状飼料による豚の成長を研究中。今後、お茶やミカンなどを入れた場合どうなるか等を研究し、長崎県産物で循環できるようにしたい。エコフィード飼料の利用には、パイプラインを利用した方が効率がいい等、農場側にも設備導入が必要な場合もあり、一朝一夕に普及することは難しいかもしれないが、一歩ずつ、食が循環する社会の実現を目指していきたい。野菜くず、調理残渣など、大量の食品廃棄物が運び込まれる食品廃棄物には餌に適しているものとそうでないものがあるため、手作業で選別pHおよび温度コントロール技術が確立し、酵素反応が最適化された製造第1号の液状飼料。飼育安全法におけるギ酸の添加量を大幅に下回る添加であるが、保存性を保っている飼料穀物高騰やTPP問題を背景とした、エコフィード飼料への期待。長崎県農産物での資源の循環化を目指し、官民が一体となって今も研究は進む。度重なる検証・調整の結果、長崎初のエコフィードを確立。■設 立/昭和49年9月■資本金/3,300万円■業 種/廃棄物処理業■従業員/115名☎095-850-5000㈹  FAX.095-850-6500http://www.hiraki-gp.co.jp■所在地/〒851-2206 長崎県長崎市三京町2842-1■代表者/代表取締役 平木 實男平木工業株式会社取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果43製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

元のページ  ../index.html#45

このブックを見る