平成30年度発行 ものづくり事例集(第4刊)
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課  題取  組結  果Company Information鉄スクラップの韓国輸出拡大のための革新的な放射能検査体制の構築■韓国企業との取引継続■輸送コスト約48%削減■移動型固定式放射能検知器の導入■ユニック折り曲げクレーンの導入■軽量スクラップグラップルの導入■韓国への輸出物に対する固定式放射能検知測定の義務化宝和金属株式会社■設 立/昭和47年1月■資本金/1,000万円■業 種/鉄スクラップ加工処理業■従業員/33名☎095-879-5858  FAX.095-879-5162■本社・工場/〒850-0985 長崎県長崎市平瀬町1-39長坂工場/〒851-0401 長崎県長崎市蚊焼町2683-5■代表者/代表取締役 永吉 昭彦 宝和金属株式会社は、リサイクル資源となる鉄スクラップを国内はもとより海外へも販売している企業である。とりわけ、建築ラッシュが続く韓国では品質に優れた日本の鉄スクラップの需要は高く、国別で見た日本からのスクラップ輸出量が第1位という状況である。 しかし、福島での原発事故を受け、韓国は日本からのスクラップ輸入の規制を強化。これまでも、第三者機関に委託した放射能検知は行っていたが、輸出事業者での固定式放射能検知測定を義務化した。 これまで、放射能測定が必要な際は第三者に依頼して対応していたが、大口取引先である韓国への輸出時に必須となると測定の内製化が必要となる。そこで、固定式放射能検知器を導入するに至った。 従来式の検知器は、固定した2基の検知盤を向かい合わせで配置し、その間に車両を通過させ線量を測定する方法をとっている。これを導入する場合、基礎工事や配線埋設工事等、膨大な工事費用が必要となる他、測定の際にはわざわざ検知器の設置場所まで対象物を輸送する手間がかかる。1日に1,000トンの取り扱いを考えると、トラック延べ80台分の輸送となり、コスト的にも現実的ではなかった。 また、この方法には時間的な問題もあった。鉄スクラップには相場があり、受注後すぐに輸出できなければ高値での取引を逃してしまう恐れがある。港から測定場所へ輸送し、測定後にまた港へ持ち帰る作業を繰り返していては高値取引の機を逸しかねないのである。 そこで、メーカーと協力し移動型固定式放射能検知器を開発した。これは1基の検知器で線量を測定できるもので、移動設置が可能なことが大きな特徴である。放射能測定が必要な際、検知器を港まで持っていき、その場で線量を測定できるようにすることで、無駄な輸送コストをかけずに迅速な輸出が可能となる。 設備導入後の1年目は、韓国との取引が売上の25.3%を占めた。2年目は18%となったが単価が上がったため売上自体は順調に推移している。仮に設備を導入していなかったら韓国との取引はできず、これら売上もなかったことを考えると、見た目の数字以上の効果があると言える。 また、輸送コストも、深堀岸壁・神ノ島岸壁の平均コストで、約48%の削減を達成している。韓国が、日本の鉄スクラップに対して、固定式放射能検知測定を義務化。輸送コスト約48%削減。韓国との取引も継続して行えている。従来式の検知器では無駄が多いため、新たに移動できる検知器を開発。品質がいい日本の鉄スクラップの中でも、特にトップクラスのものを扱っている港に検知器を持ってきて、その場で線量を測定。韓国への輸出がスムーズに行える放射能検知器のモニタリング画面。従来はデスクトップ型パソコンであったが、移動が容易なノート型パソコンに対応するようソフトウェアを改良した(写真はデモ画面)取組への経緯課 題実施内容取 組取組成果・波及効果結 果45製造・工業食品加工業農林水産業小 売 業環境・リサイクル

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